現在、表題の展覧会(陶酔のパリ・モンマルトル 1880 - 1910)が群馬県立近代美術館の企画展として行われている。昨年末からの展示であり、もっと早く見に行きたかったのであるが、昨日ようやく訪れることができた。
上画像は、群馬の森にあるその美術館である。設計は磯崎新によるもの。
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入口には、巨大なペナントと日仏の国旗が掲揚され、この展覧会の開催を少しばかり盛り上げている。
館内はもちろん撮影できないので遠慮したのであるが、エントランスホールは吹き抜けであり、コンクリート打ちっぱなしと大理石の内壁が、竣工当時の日本の経済事情を物語っている。建築家として名を馳せた彼の出世作と言われているこの作品であるが、詳しくは以下ブログ記事を参照していただければとも思う。
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さて、本題に戻るが、この展覧会は、19世紀末から20世紀初頭に掛けてのパリのモンマルトルの丘に住む芸術家とその丘の下にあるピギャール広場近辺にあるカフェやキャバレー(と言っても日本の同名のイメージとは異なり、大衆舞台芸術を楽しみながら飲食出来る社交場である)の文化を紹介するものである。丁度日本の平面的な美術である浮世絵が西洋で高く評価され、それまでの3次元を表現してきた芸術界に新しい画風をもたらした時期と重なる。それらは、カンバスに描く絵画に留まらず、いわゆる商業デザイン(グラフィック)の先駆けとも言えるポスターなど、リトグラフによる印刷とマッチし、当時のアールヌーボーの表現手段として華開かせたのである。
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そのキャバレーの1つでもある「Le Chat Noir」(黒猫)と呼ばれるキャバレーのありようを、近辺のカフェやそこで催された「影絵」、絵画、ポスターなどの資料を展示し、また実演させながら、当時の存在を浮き上がらせるという試みである。
特に影絵については当時の影絵セットを再現し、それを実際に見ることが出来るのは興味深く当時の人々の娯楽の感心を追体験出来る。もちろん現在は世界屈指の観光地でもあるパリのモンマルトルではあるが、当時ではパリの一般大衆や、それを好む上流階級の人々、闇の世界もあったであろうこの界隈の文化は当時の世界最先端の芸術の発信地でもあったはずである。
そのような世界をこの群馬で体験出来る幸せを久しぶりに味わったのであるが、私達が訪れたのは平日の午前中でもあったためか、観覧者も少なく快適にじっくりと作品を鑑賞出来、当時の世界に深く身を置くことができたのは、地方であったが故の幸いである。
正面玄関に「毎日先着10名さまにポスター進呈」のはり紙を見つけたのであるが、お昼に近い午前中に訪れた私にも、なんとそれを貰えることに。今朝早速それを我が家にあった枠なしガラスホルダーに据え、居間の壁に掛けた。暫くミルヒが怪訝そうにその黒猫ポスターを気にしていたのだが、今はその真下で寝ている。
この展覧会は、今月25日迄である。
参考サイト:群馬県立近代美術館
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